高齢化に向け介護職員の確保を目指す介護施設の独自な取り組み

介護問題と行政の取り組み

現在の少子高齢化による介護職の人材不足の問題は、介護業界に大きく影響する部分です。特に介護職は、働く側の人材不足と施設利用者の増加により、双方から圧力のかかる職種です。実際、日本産業の有効求人倍率は改善傾向にありますが、失業率の低下とは逆に介護の求人案件は増加してきています。このことは、雇用枠が多数あるのに対して、介護職に携わる働き手が少ない事態を表しています。もちろん、国や行政が対策案を打ち出していますが、まだまだ追いついていないのが現状です。介護施設側としても、早急な対策を行政に求めていますが、いつ決まるか分からない対策を待つよりも、介護施設で独自に対策を考えているところも増えてきています。

介護施設が独自に設ける対策

介護施設において人材不足を補うためには、まず介護現場で働くこと自体に魅力を感じさせることが重要です。どうしてもマイナスイメージが強い介護職です。待遇面の改善や将来性が見えるなど、キャリアアップの可能性を示すことでイメージの転換が必要になるでしょう。
また、介護職のメリットをもう少しストレートに感じてもらえる体制を整え、キャリアをスキルに合わせて段階的に引き上げるシステムも必要です。そうすることで自分の経験に自信がつき、モチベーションのアップにもつながります。独自の育成プログラムは、有効な資格である介護福祉士になれるチャンスを与え、やがて人材不足を改善する対策となるでしょう。

施設独自の研修プログラム

人材確保が難しい現状に危機感を持ち始めた施設は、行政の対策を待たず独自の研修を実施しているところもあります。新規参入者向けに基礎介護知識の研修やフォローアップ研修、中堅職員への研修などを用意し、雇用されている多くの方が受講できるようなシステムもあります。長期的に育てていくプログラムは、モチベーションの向上と離職率の低下につながり、今、必要な制度でしょう。外部の一般的な基礎知識を教える研修機関に頼らず、現場で必要なスキルをより身近な方が研修することで、目標を明確にできるはずです。
このような積極的な取り組みこそが、個人に対し的確なノウハウを伝えることとなり、スキルアップへとつながるのです。また人材教育は重要な転職ポイントで、オリジナルの研修プログラムを持っているような介護施設は魅力的です。そして、キャリアビジョンが見える職場は、何よりも最適な環境と言えます。介護職としての人材を採用する際に、研修プログラムを施設の魅力として持つことは強みとなるでしょう。